![]() 《本コラムには映画の結末やストーリーに関する記述があります。》
【公式サイト】 http://www.tonytakitani.com
さて、今回から「ふむふむシネマ」は「背景紹介 introduction」
さて、映画館で見逃した「トニー滝谷」を家で、DVDで、見ました。なんとなくなのですがこの作品は逆に映画館よりもお家でゆったり見るほうが合ってい るかもしれません。できればすこし広めのリビングで(あるいは君の家のリビングが狭くてもぜんぜん気にするな!)、昼間にふつうに明るい状態で(あるいは夜でも真っ暗にせずダウンライトの明かりのなかで)、たとえば温かくておいしいお茶を飲みながら(あるいはサントリーモルツでも飲りながら)、ビスケットでもぽりぽりやりながら(あるいはピッツァトーストをサクサク齧りながら)、猫を膝に乗せながら(あるいは女の子の肩を抱きながら/男の子に肩を 抱かれながら)。もしかしたら、そんな風に見るほうがよいのかも知れないと、僕なんかは思いました。
「孤独でない自分に違和感を感じる」。
そしてこの村上春樹の作品というのはなかなか映画化するのが難しいと言われて来ました。それは難解だからではもちろんなく、映像化が困難なSF的世界を描いているからでもありません。それは、あまりに強い村上春樹の作品個性が(あるいは文体個性が)どうしても映像化するのあたって足かせになってしまうからです。熱心な読者の多い氏の作品に対して、イメージにあう役者の設定の難しさも手伝っているかもしれません。 広告・CMの世界で名を馳せ、数々の優れた映画も撮っている市川準監督がこれに挑むという事を聞いた時には「ああなるほど、彼なら相性は良いかも」と思 い、高い期待を持っていたのを覚えています。ちなみに市川準について知らない方のために言っとくと「タンスにゴン」「禁煙パイポ」「三井のリハウス」な どを手掛けたCM監督で、映画作品では「BUSU」「大阪物語」「龍馬の妻とその夫と愛人」「ざわざわ下北沢」などの監督を務めています。 彼もスタイリッシュで都会的なイメージがあり、淡々とした語り口の中に、静かなる通奏低音のように、控えめだけれどこころに響く映像を語る作家です。
では、その市川準が、どのように村上春樹の小説、しかもあえて短編の小品を選んで、映像化したのか、そこのあたりを中心に、見ていきたいと思います。 |