Vol.06 我々は氷と雪の国からやってきた 『ヴィンランド・サガ』
ヴィンランド・サガ 幸村誠 講談社
SF漫画『プラネテス』で鮮烈なデビューを飾った幸村誠の最新作。11世紀頃の北ヨーロッパを部隊に当時のヴァイキングたちの世界を描いた骨太な作品。殺された父の復讐を誓う少年トルフィンは、敵であるバイキングの頭アシェラッドの命を付けねらう。単行本第2巻までは「週刊少年マガジン」にて、その後は「月刊アフタヌーン」にて連載中。
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だーかーら言ったじゃねえかよ!!(いつ?) この作者で、しかも描く題材がヴァイキングで少年誌はダメだって! 見切り発車したけど、やはり週刊連載は無理でした、ってことだけなら大した話ではない。「月刊少年マガジン」に移ればいいことである。しかし、移ったのは青年誌の「アフタヌーン」。これは解せないし、実際に問題がある。青年誌に移ったことにより、単行本サイズが変わってしまったのだ(一般的に少年漫画の単行本は縦18cm、青年漫画の単行本は縦19cm)。「週刊少年マガジン」連載分の1〜2巻は先に縦18cmで刊行されていたのだが、後のサイズに合わせるのに縦19cmでも出し直したので二種類存在することになってしまった。最初から買っているファンは揃えるために同じ巻を買い直さなければならず、非常にかわいそうである(私含め)。 そもそも、『プラネテス』を見るにこの作者の資質は明らかに青年漫画向きである。扱うテーマの深刻さ、奇麗事ではとても済まされないストーリー、どれを取っても決して少年漫画向きではない。しかも今回はヴァイキングの話である。荒々しい北欧神話を信仰し、戦においては勇猛果敢、残酷で血なまぐさいシーンだって相当描いていかなければならなくなると思われるが、制約の多い少年誌でそれらが自由に描けるとは思えない。ここらへんが「月刊少年マガジン」ではなく無理を押し通してでも「アフタヌーン」行きにした理由に思えるのだがどうだろうか。 だとしたら、やはり最初に少年誌を選んだのは軽率であったように思える。破綻する、とまではいかなくとも、つまらない作品になることが火を見るより明らかだからだ。実際、トルフィンの父トールズは英雄でありながら子供が産まれたのを機に戦場に出るのが怖くなっただの、ある日突然人を殺すのが嫌になっただの、ヴァイキングの戦士としてはあまりにもリアリティに欠けるし、何よりゆるい。『るろうに剣心』じゃないんだから。幸村誠にはだれもそんなもの期待していない。結局青年誌に移るんだったら、一体彼や編集部は何が描きたくて最初に少年誌を選んだのか?と問いたくなる。 しかし、まあ済んでしまったことをいまさら言っても始まらない。青年誌に移ったこれからにこそ期待できるってなもんだろう。アフタヌーン掲載分の3巻からは戦闘シーンなんかにも残酷な描写が増えてきたが、本来そういう漫画なのだからそれでいいのだ。後は1〜2巻で提唱してしまった「殺さず」という少年漫画的なテーマにどう折り合いをつけていくのか。着目しつつ、これからも読んでいきたいと思う。
11月17日 |