Vol.11 誰かが君のドアを叩いてる
    『La Quinta Camera 〜5番目の部屋〜』

La Quinta Camera 〜5番目の部屋〜 オノ・ナツメ 小学館
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男性漫画家が女性を描く時に何かしらの偏愛を持つことがあるように、女性漫画家が男性を描く時にも同じようなことがままある。
今回取り上げる作品の作者オノ・ナツメはそのセンスのよい構図や画風で人気の新進気鋭漫画家であるが、こと男性キャラの描写に関してはかなりのフェティッシュな視点を持っていると思う。
どこらへんがそうなのかここで具体的には書かないことにするが(ご自分の目でお確かめあれ)、その手のにおいがキツイと私のような日陰の30代男性読者としては読みづらいというか、ちょっと付いていけないところがあったりもするのだ。
例えるなら、巨乳ロリ顔の女の子が出てくる漫画を女子が読みにくいように(違ったらゴメン)。

しかしこの『La Quinta Camera 〜5番目の部屋〜』は彼女の他作品と違って非常に心地よく読むことができた。
理由は簡単、キャラクター造形がデフォルメされているからだ。
単純な記号の集合で作られたキャラクターにはその手のフェチ要素は希薄になる。
おかげさまで、私のようにひねた読者でもそういったものに気を取られず、作者が本来持つ巧みなコマ構成や構図といったプラス面だけを堪能できるようになったわけだ。

作品の舞台はイタリア。
主人公はアパートの1フロアをシェアリングして共同生活を営んでいる4人の独身中年男性たち。
そこの余った5つ目の部屋を語学留学生向けの受け入れ先として解放しており、そこに代わる代わるやってくる下宿人たちを交えてストーリーは進行していく。
キャラクターはどれも個性的な面々が揃っているのだが、家主のマッシモを筆頭に非常に親切で気持ちのいい連中ばかりなのが読んでいて嬉しい。
絵のセンスのよさと相まって、まるで小粋なイタリア映画を観ているみたいだ(観たことないけど)。

先ほどから連呼している通り、オノ・ナツメは非常に作画のセンスがいい。
デザイン的というかオシャレというか、読めばなんとなく1ランク上の上質な漫画に触れたような浮ついた気分にさせてくれる。
漫画好きなら一度手を伸ばしてみてもいいんじゃないかと思うが、中でもこの作品は前述の理由から男女問わず非常に読みやすくなっているので、私のような日陰の漫画読者にこそオススメなのかもしれない。

1月26日