Vol.15 奇妙奇天烈摩訶不思議 『はなしっぱなし』

はなしっぱなし 五十嵐大介 河出書房新社
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はてさて、それはもう漫画原作のドラマや映画が幅を利かせている昨今であるが、大友克洋監督、オダギリジョー主演の『蟲師』が満を持して明日から公開される。
あの独特な世界観をどこまで表現できているのか、CGバリバリで映像としてちゃちくなったりしてないか、一抹の不安を覚えないではないが、各人のネームバリューもあり興行的にはかなりヒットしそうな予感である。

『蟲師』を読んでいると、よくもまあこんな摩訶不思議な話ばっかり考えつくよなあと感心するのだが、それと非常に似た感覚を味あわせてくれる漫画があるので紹介したい。
五十嵐大介の『はなしっぱなし』である。
本作はその名の通り、作者の考え付いた話をとりとめもなく読者に放り投げたようなショートショートのオムニバス作品。
不思議な生き物や物の怪の類、怪現象なんかを扱ったものがほとんどだが、どうしてそうなる、とかいった説明は一切ない。
作者がそうだと言ったらそうなのであり、読者はひたすら作者の投げるあらゆる球種をミットに受けるのみなのだ。
故に『はなしっぱなし』。
実に絶妙で洒落たネーミングだと思う。

作品の雰囲気としては漆原友紀の『蟲師』の摩訶不思議さと鈴木翁二や白山宣之といったちょっとマイナーな漫画家の作品群に見られる凛とした空気感を足して割ったような感じ(分かりにくっ)。
五十嵐大介といえば、その画力の高さがよく取りざたされるが、このデビュー作の『はなしっぱなし』でもそれは遺憾なく発揮されていて、日常の直感から得たストーリーを語る上で描く、感覚が暴走するのにまかせたかのような作画はまさに圧巻のひと言。
特に大ゴマを用いての奇想天外描写はものすごいカタルシスを持っている。

映像でも活字でもない、この先何十年も漫画でしか体験できないであろう摩訶不思議な世界を味あわせてくれる貴重な作品。
読んだ瞬間から日常がまた違ったものに変わるだろう。

3月23日