Vol.16 吹けば飛ぶような将棋の駒に 『ハチワンダイバー』

ハチワンダイバー 柴田ヨクサル 集英社
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いきなりハチワンダイバーと言われても、知らない人には一体何のことだかさっぱりだと思われるが、これは9×9=81(これでハチワンね)マスの将棋盤の上で熱いバトルを繰り広げる真剣師たちの姿を描いた漫画の題名である。

主人公の菅田健太郎はプロになりそこなったアマチュア棋士。
プロになることを断念したとはいえ、将棋以外とりえのない彼は賭け将棋で日銭を稼ぐ真剣師となり、町のアマチュアを相手にさえない日々を送っていた。
そんな中「アキバの受け師」なる女性棋士に対戦を申し込み、完膚なきまでに叩きのめされる。
傷心した彼だったが、その「アキバの受け師」が、昼は「みるく」という名前の掃除代行を引き受ける出張メイドであることを知り、彼女をライバルとして認めつつも、癒しの対象としても大いに心惹かれていく。
そして「アキバの受け師」こと中静そよも菅田の実力を高く買い、様々な強者との戦いに彼を誘う。
真剣師たちとの戦いの中で菅田は将棋盤の中に深く潜るという感覚を覚醒させ、自らを「ハチワンダイバー」と名乗るようになる。
ってのが大まかなストーリー。
まだ物語りも序盤なので今後どのように発展していくのか分からないが、そよが菅田を鍛え上げようとしているところになんらかの行く先がありそうである。

とりあえずこの漫画は言葉が強い。
数々のセリフが圧倒的な説得力を持って読者に訴えかけてくる。
それも名言だからとかそんな理由ではない。
ただ単純にフォントサイズがデカイのだ。
小中大特大と様々なフォントサイズを駆使することで、場面に独特なリズムを生み出している。
かなり乱暴な手法と言えないこともないが、これがなかなか麻薬的な面白さを持っていたりするのだ。

あと、特筆すべきは「アキバの受け師」こと中静そよがメイド姿になったときの見た目のボリューム感であろう。
かぼちゃワインのLを思い出してもらえればいいかと思うが、いわゆるメイド的なロリ要素皆無で、むしろSM女王的
菅田と並んでいるショットでは一応菅田より小さく描かれているが、単体のコマの感じではどう考えてもそよの方がデカイ。
菅田は彼女のことを「かわいい」と認識しているようだが、とてもじゃないがそういう造形ではないぞ。
ここらへんは作者の女性観が発揮されているのだろうか?

とにかくこの漫画、おそらくだれが読んでも面白いのは間違いない。
ただ問題なのは、面白いだけで後に何も残らない(笑)。
文字もコマも大きいので一冊が本当にあっという間に読めてしまう。
このスピード感といい、これほど快楽的な漫画もなかなかないのではないだろうか?
これを良しとするかどうかは人それぞれだと思うが、たまには頭空っぽでこんな漫画をパラパラ読むくらいの余裕が現代人にも欲しいものである(何?この締めくくり方)。

4月6日