ふむふむ   コンテンツでやろうとしてたこと、
理想としてたことってどういうことですか?
     
おくやま   最初はとにかく自分の場所を持つ、っていうことを
考えてたんですよ。
例えば絵を書く人も、音楽をやる人も
最初は自分自身の技術を覚えますよね。
上達することが喜びだったり、
絵を描くこと自体が好きだったり。
     
ふむふむ   そうですね。
     
おくやま   そうしてやってると
その次に見てもらいたくなりますよね。
友達に見てもらったりして。
そうやってだんだん結びつきが強くなってくると
今度は自分の知り合いじゃない人に何を与えれるか、とか
それがテーマになってくると思うんです。
お店をやってきてだんだんとそう思うようになってきました。
     
ふむふむ   あ、やっていく中で変わっていったんですね。
     
おくやま   だって笑い話ですけど
はじめは自分がお店をやったらかっこいいな、
って思っただけですもん(笑)

でも真剣にやっていれば
だんだんそうなってくると思うんです。
コーヒーが400円、ランチが800円、
お客さんがその対価以上のものを
受け取ってもらえるように、っていう
責任があるんですよ。
お店をやっていくなかで
意外とコーヒー売るだけじゃなかったな、
って気付いたんですよ。

     
   
     
ふむふむ   コンテンツにはいろんなクリエイターさんが
来られますよね?
そういったつながりというか、
コミュニケーションについては
考えがあってお店を運営されてたんですか?
     
おくやま   ずっと変わらないコンセプトがあったんです。
「食を通じ、安らぎと刺激のある小さな文化施設」
これだけは最後まで貫けたかなあ、って思うんです。

いちばん安らぐ場所っていうのは
どういうものかなって考えたんです。
僕は出不精だったから、家がいちばん安らぐんですよ。
だけど家には刺激はないんです。
やっぱり刺激を受けるには外に行かないとないんですよ。
だからそういう場所にしたかったんです。
お茶を飲んでもらう行為は落ち着いて
のんびりしてほしい。
だけど空気感や情報、音楽、盛り付けとかで
落ち着きながら沸々とやる気になる感じ。
沸々とやる気になる感じ、ってわかります?

     
ふむふむ   わかりますね。
ちょっと知的好奇心をくすぐられる感じ。
     
おくやま   そう。動的な刺激じゃなくて、
落ち着いてるんだけど、
よし、やるぞ、っていうような。
そういう部分をくすぐりたいんです。
それは公共の場所でいうと図書館なんですよ。
静かなんだけど情報を知識に変えてる感じ。
     
ふむふむ   あー、なるほど!
お店の階段にものすごい数の
イベントフライヤーがあって、
あれがものがたってますよ。
あそこを見ているだけで刺激が沸々と・・・
     
おくやま   僕がお店に立ってる間は
一回もフライヤー(の持ち込み)を断らなかったですからね。
     
ふむふむ   すごいですねー。
     
おくやま   途中で断らなきゃいけないかな、って
思ったことはあるんです。
なんでもOKってことは
何もないということと同じだから。
そういう風にも思いましたけどね。
結局断りませんでした。
     
   
     
ふむふむ   お話を聞いててなぜコンテンツレーベルカフェが
心地いいのかがわかった気がしましたよ。
なんとなくいいなあって思ってたのがより具体的に。
     
おくやま   これもお店が続いてる時は
こういう言葉にまとまらなかったし。
こういう機会がないとね、言わないですよ。
     
うちべ   改まってこちらから話すことでもないですしね(笑)
     
ふむふむ   確かに(笑)
     
おくやま   「この場所はあなたにとって刺激的な場所であり・・・」
とかいちいち説明するカフェ(笑)
     
ふむふむ   それやだなあ(笑)
     
おくやま   そんなのだったら誰も来てくれないですよね(笑)

あの店は僕の表現の場所だったんです。
人とのコミュニケーションも
あの場所でとらせてもらったんですよ。

僕あそこがなかったら何してたんでしょうねー?
自分にとっていい道が他にもあったのかもしれないけど
少なくとも今の僕の考えは持ててないです。
自分でつくった場所だったけど
あの場所に感謝してるんです。

     
     
    第9回につづく
【これまでのインタビュー】
2006年12月19日 第1回 よかったんだと思ってます
2006年12月20日 第2回 またお店をやりたい
2006年12月21日 第3回 僕にしかわからないこと
2006年12月22日 第4回 今はいろいろ考えられるからおもしろい
2006年12月25日 第5回 ほんとに感謝してるんです
2006年12月26日 第6回 続いているもの終わったもの
2006年12月27日 第7回 お店の名前
2006年12月28日 第8回 あの場所に感謝してるんです