むふむふ   月光荘は創業何年になるんですか?
     
ひ び   創業90年になります。
     
むふむふ   ほんとに長い歴史ですね。
とても知りたかったのですが
月光荘という名前の由来は?
     
ひ び   創業は大正6年なんですが、
当時いろんな文化人が集まる
サロンが流行っていたんですね。
そのなかの与謝野晶子さんが
中心になっていたサロンに
月光荘の創業者である私の父が
出入りしてたんですよ。
     
   
     
むふむふ   与謝野晶子さんですか!?
すごいなあ。
     
ひ び   その時に与謝野晶子さんが
父のために詩を詠んでくれたんですね。

大空の月の中より君来しや
ひるも光りぬ夜も光ぬ

そして与謝野鉄幹さんが「月光荘」という
名前を送ってくれたのが名前の由来で、
私の「ななせ」という名前も与謝野晶子さんに
つけてもらったんです。

     
むふむふ   どちらもとても素敵な名前ですよね。
月光荘とは、あるお店の画材コーナーで
出会ったのですが
それまでは全然知らなかったんです。
     
ひ び   月光荘は創業以来一回も
宣伝、広告をしていないんです。
先代の頑固な月光荘親父がはじめたことを
今も守っていこうと思ってるんです。
     
   
     
むふむふ   頑固な月光荘親父(笑)
それはなぜですか?
     
ひ び   実際に商品を
使ってみないことにはね、
商品の本当の良さを
理解してもらうのは難しいんです。
ほんとに使ってその良さがわかった人から
広がっていくっていう、
心を通じて伝わっていくのを
大事にしていきたい。
     
むふむふ   実は、個人的にかばん
おけいこバッグ)を
愛用してるんですが、
とても気に入っていて
プレゼントにしたこともあるんです。
     
   
     
ひ び   そうなんですか!
ありがとうございます。
今、ほんとにネットの時代だけれど、
どんなに媒体を使っても、
お金をかけても
伝わらないものも
あるだろうって思ってます。
だからこそこの感覚は
ずっともっていたいんですよ。
     
むふむふ   はい。
     
ひ び   あと、もうひとつ頑固親父が
始めたことなんですけれど、
当時から紙袋なんかの
包装資材をつくってないんです。
     
むふむふ   それはどうしてなんですか?
     
ひ び   包装資材を出さない分
画材を少しでも安くしたいと
考えているんですよ。
(プレゼント用には心を込めて包みます。)

何十年も前なら
ピカピカの包装紙で包むって言うのが
サービスといわれていた時代でしたから
月光荘はケチだなーって言われたりしたと
思うんですが(笑)

     
むふむふ   (笑)
     
ひ び   でもね、そんなふうに
しっかり芯の通ったことをやっていかないと
銀座で90年やっていくのは難しいんです。
     
   
     
むふむふ   90年ってすごいなあ。
     
ひ び   90年続いていますが、
その長さを感じていては
商売は続けられないんです。
ブランドだとかのれんだとかの
意識をなくして
まっさらの気持ちでやっていかないと、
昨日と同じことをやればいいんだと
思った時点で負けだと思うんですよ。
     
むふむふ   常に新しくあるべき、と。
     
ひ び   そこが勝負だと思うんです。
絶えずこのお店に入ってこられた方が
お買い物をして商品を持って帰って、
はい終わりって、それでいいわけではないんです。

今日月光荘に行って何分かの時間を過ごした、
ああ、月光荘に行ってきたんだ、行ってよかった、と
そんな喜びのこころを持って帰ってもらってこそ
ここでやってる価値があると思うんです。

     
むふむふ   なるほどー。
     
ひ び   その気持ちを忘れた時点で
もう続けていけないと思うんですよ。
     
     
    第2回につづく
【これまでのインタビュー】
2007年2月6日 第1回 宣伝と広告はしない
2007年2月7日 第2回 生活のなかに色を
2007年2月8日 第3回 月光荘のスケッチブック
2007年2月9日 第4回 子供にほんものを
2007年2月13日 第5回 一期一会
2007年2月14日 第6回 お客様と月光荘
2007年2月15日 第7回 人を大切に
2007年2月16日 第8回 銀座一安いギャラリー
2007年2月19日 第9回 変化のなかで
2007年2月20日 第10回 ゆこうゆこう月光荘 その1
2007年2月21日 第10回 ゆこうゆこう月光荘 その2