伊藤尚美(いとうなおみ)

水彩画家、テキスタイルデザイナー。1971年生まれ。94年より作品をパリ、大阪、東京にて発表しはじめる。自身の作品がCMや広告に起用され、版画などが国内外で発表されている。2001年より「nani IRO」というブランド名でテキスタイル画を描きプロデュースする。

聞き手:ふむふむの森 
ふむふむ と、いうことは小さい頃に絵を描いていた、
というわけではなかったんですね。
   
いとう うん、そうですね。
   
ふむふむ 絵本を見るのが好きだったとかは?
   
いとう 母親が本を読むのことや、舞台を観に行くのが
好きだったんですよ。
で、私が小さい頃に「窓際のトットちゃん」に
連れて行かれたんです。
   
ふむふむ あ、黒柳徹子さんのですよね?
   
いとう そう。黒柳徹子さんが舞台で朗読とか
する舞台だったんですけど、
こどもだったから、楽しくなかったんですよ。
   
ふむふむ あらら。
   
いとう 前の席とかをバンバン蹴ったりしてて(笑)
   
ふむふむ 退屈だったんだ(笑)
   
いとう でもね、なんだかその空気がすごくすてきだな、って
思って、覚えてますね。
あとは家に絵本部屋があったんです。
   
ふむふむ おー、それはいいですね。
   
いとう 部屋ひとつまるまる絵本だけなんです。
今から思うとすごいなあ、と思うんですけど、
その頃はなんとも思ってなくて。
で、こども3人が成人した時に母親が
その絵本を全部幼稚園に寄贈したんですよ。
   
ふむふむ あ、いいことですね。
   
いとう だから、そういう舞台の空気とか、
絵本部屋の空間とか、そういうのが
ずっと印象に残ってますね。
無意識のうちに絵本をつくれたらいいな、とか、
そういう気持ちはどこかにはあったんだと思いますね。
   
ふむふむ お母さんからの影響ですね。
   
いとう それは大きいと思いますね。
コープだか生協だかから、2週間に一度くらい
絵本がどーんと届くんですよ。
   
ふむふむ あ、じゃあお母さんは教育のために定期的に
買ってた感じだったんですか?
   
いとう お母さん自身が絵本好きだったので、
自分のためにっていうのもあると思うんですけど、
「あんたらも読みやー」って感じで。
1回も強制されたことはなかったですね。
   
ふむふむ その絵本たちからはだいぶ影響がありますよね。
   
いとう そうですね。
あとは、田舎で育ったので
周りが全部草原だったんですよ。
   
ふむふむ 草原!?
   
いとう そう。伊賀の出身なんで草原なんですよ。
野生のコスモスがそこにいっぱい咲いていて、
秋になったらそのコスモスを摘みに行ったりとか。
   
ふむふむ いやあ、それはいいですねー。
   
いとう もう、今から思うと最高だったんですよ。
土手を降りていくと田畑が広がっていて、
その向こうにどんぐり林があるんですけど、
それが自分の中ではテレビで観た
「トムソーヤーの冒険」とか「ふしぎな島のフローネ」の
世界が現実にある!って感じで思っていて。
   
ふむふむ うわあ、それいいなー。
   
いとう そういう情景が自分の中に残っているんです。
大人になって社会に出たときに
あまりにも息が詰まってしまって、
いろんなことに挑戦もしたいんだけど、
田舎で過ごしたリズムをゼロにしてしまったら
息ができない、って思っちゃって、
朝だけでもゆっくりしたいな、とか
そういう思いは今でもすごくありますね。
   
ふむふむ 自然の記憶からの影響もずいぶんあるんですね。
   
いとう そうですねー。
     
    #06『原点となったできごと』へつづく
     
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展覧会のお知らせ
2008春 nani IRO
「衣 まとうころも」

新作のテキスタイル8柄38色と共に肌にまとうものを創作していくつつましやかで豊かな日々の営みを提案します。
●日時:2008.03.19〜23
●場所:LimArt、LimArt annex(東京、恵比寿)
※伊藤尚美さん来場日: 3/20 14時〜17時
 (at LimArt annex)

くわしくはこちらで!

  伊藤尚美さんの本が出版されます。
絵と色の布でつくる
―nani IROの服の本 大人服と子供服

水彩画家・伊藤尚美が手がけるテキスタイルブランド「nani IRO」で作る大人服と子供服を紹介。大人のポンチョ風スモック、子供のフリルつきフレアワンピースなど、柄づかいの美しい作品が満載。 実物大パターンつき。
2008年3月8日発売。
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