ふむふむ   京都時代はすごく楽しかったんですね。
     
か い   そうなんですよ。
でも、だんだん、
「このままこの生活を続けていていいのだろうか」
と思うようになったんです。
この先どうしていこうかと考えたとき、
私の夢の行き先は東京にあって、
京都は通過点なのかもしれないと思ったんです。
     
ふむふむ   え、それはどうしてですか?
     
か い   京都に住みたいと思っていたのと同じくらい、
東京で仕事をしたいと、
子どもの頃から思っていたんです。
京都に憧れながらも、
それ以上に、東京にも憧れてたんです。
     
ふむふむ   あー、そうなんだ。
もともと甲斐さんは静岡でしたよね?
     
か い   はい、静岡です。
静岡は東京の大学へ進学する人が多くて、
私のように大阪の大学へ進学する人は
少なかったですね。
     
ふむふむ   そうですよね。
具体的に東京へ行って、
何をしよう、
っていうのはあったのですか?
     
か い   ちゃんと勉強がしたかったんです。
絵本の編集はトリコロールブックスで
なんとなく経験させてもらっていたけれど、
まだまだ独学の範疇で。
雑誌に原稿を書くいて原稿料をいただく、とか、
単行本をつくる、というのが、
きちんとした形で分かっていないことに気がついて。
でも、今、わからなければ、
この先もずっとわからないままだし、
そうだ、今なんだ、って思って。
     
ふむふむ   そうですよね。
     
か い   そこにちょうど
東京で雑誌で文章を書いたり
単行本を出していた
ライターの山村光春さんから、
「東京に出てきて勉強がしたいんだったら、
 テープ起こしの手伝いくらいなら、
 やってみる?」って
言っていただいたので、
トリコロールブックスの事務所と一緒に
東京に引っ越してきたんです。
そして最初の1年は、
トロコロールブックスの事務所に
住みこみをするかたちでしたね。
     
ふむふむ   なかなか勇気が要りますよね。
     
か い   そう決めてから
2ヶ月くらいで全部ことを運びました(笑)
     
ふむふむ   はやっ!
     
か い   有言実行派が好きなんです。
東京に行きたいと思ったら、
いてもたってもいられず、
1週間後に家を探しに行って、
2ヶ月で全部準備をしたんです。
     
ふむふむ   すごいなあ。
京都に未練はなかったんですか?
     
か い   そのときは、まったくなかったですね(笑)
次へ次へ進んでいきたかったんで。
     
ふむふむ   じゃあ、東京へは
文筆家になることを
強く意識して出てきたんですね?
     
か い   東京に出てきた頃は、
自分の仕事の比率が
トリコロールブックスがメインで、
物書きやロルではたいした収入を
得られていませんでしたね。
だから、ロルの主宰と名乗ることも、
物書きと名乗ることにも自信がなくて、
いつも自分の名刺を出すとき
「トリコロールブックスの甲斐です」って
言っていたのが、
だんだんつらくなってきたんです。
     
ふむふむ   ああ、そうなんだ・・・。
     
か い   もちろんトリコロールブックスの仕事に
誇りをもっていたけれど、
「ロルです」「物書きです」って、
堂々と言えるようになりたいなと
思うようになって。
だけど現実は、ロルを知っている人は
まだほとんどいなくって。
雑誌の仕事もその頃は
まだ自分の名前でしたことがなかったんです。
山村さんのアシスタントを
させていただいてはいたけれど、
自分自身で書く仕事を得ることができずに、
悩んだりもしました。
     
ふむふむ   そうだったんですか・・・。
     
か い   そうして、1年くらい
トリコロールブックスの事務所に
住み込みしながら、
山村さんのアシスタントを
させてもらっていたのですが、
また自分の中で転機がやってきて、
「トリコロールブックスを卒業して、
 独り立ちしてみよう」
って思い立ったんです。
     
ふむふむ   おお!
     
か い   山村さんのアシスタントを
1年させてもらっていたこともあって、
だんだん書く仕事について
分かりはじめてきて、
出版社の知り合いもできてきたので、
なんとか仕事をいただけるかもしれないと思って。
     
ふむふむ   うわあ、賭けに出たんだなあ(笑)
     
第六回 「もちろんやります!」につづく
     
前へ 目次 次へ

  『乙女の京都』に続く、
女性のための「東京」ガイドブック。
憧れの都会、華やかな街、東京を、
あらためて見つめて作った1冊。
大切な人との街歩きや、
買い物の参考にどうぞ。

発行 マーブルトロン
発売 中央公論新社
A5判型・112ページ・1,575円(税込)
詳しくはこちら
ちなみにデザインは、葉田いづみさんです。


  『恋する女の子を応援する猫』

「ビド」は甲斐さんが
ディレクションを手がける
かわいい猫のキャラクターです。
詳しくはこちら

(C)LOULE LICENCED HONEYMUD