ふむふむ   クラシックホテルの本を
書いていらっしゃいますよね?
     
か い   はい、書いてますね。
     
ふむふむ   クラシックホテルの本があるなんて、
ちょっとびっくりして、
着目点がおもしろいなあ、って思って。
     
か い   ありがとうございます。
     
ふむふむ   どうしてクラシックホテルを
1冊の本にまとめようと思ったのですか?
     
か い   父と母に、
「新婚旅行はどこへ行ったの?」って、
子どもの頃に聞いたことがあったんです。
行き先は伊豆でした。
生まれ育った家からとても
近いところだったんです。
「そうか、国内だったんだ」って、
正直に言えば子ども心に、
なんだかちょっと、
がっかりしたんです(笑)
     
ふむふむ   なんとなくわかります(笑)
     
か い   それで、そのときの写真を見せてもらったら、
母がとてもかわいいワンピースを着ていたんです。
それは新婚旅行用に仕立てたものだったんですけど、
まだ母は持っていて、私にくれたんですよ。
     
ふむふむ   いいですねー。
     
か い   それは、今私が着ても、
「どこのブランド?」って聞かれるくらい、
モダンなデザインですてきだったんです。
     
ふむふむ   あら、すごいじゃないですか。
     
か い   父や母の年代の新婚旅行は、
みんな国内旅行で、
だけど、着るものや、
その頃まだ高価だった
カメラやカバンなんかを用意して、
2、3泊くらいで行ってたのが
ふつうだったみたいなんです。
それを聞いて、
国内旅行もすてきだな、って
思うようになって。
     
ふむふむ   うんうん。
     
か い   それからいろんな人の随筆なんかに、
いろんなクラシックホテルが登場するのに
気付きだしたんです。 池波正太郎さんとか。
     
ふむふむ   なるほどなあ。
     
か い   あと、もうひとつは、
静岡に住んでいたので、
よく箱根に旅行に行ってたんですけど、
富士屋ホテルを外から見て、
「あのお城はなに?」って、
こども心に思ったんです。
かわった建物に興味がある子どもだったので。
そうしたら、
「チャップリンみたいな有名な人が
泊まったホテルなんだよ」って
父に教えてもらって、
「私も泊まってくたい」とだだをこねましたね。
そうしたら、
「大人になったら
 自分の働いたお金で泊まりなさい」
って言われて(笑)
     
ふむふむ   あこがれの場所ですね。
     
か い   大人になってからもしばらくずっと、
ただ憧れの場所だったのですが、
仕事としてクラシックホテルの
プロデュースをしてみませんか?という
話があったんです。
     
ふむふむ   プロデュース?
     
か い   それは日光金谷ホテルだったんですけど、
そのひと部屋を「乙女の部屋」と名づけて、
そこに置くもの、着ていくもの、
持って行くもの、旅に必要な一式を
ストーリー仕立てでプロデュースしませんか、って。
     
ふむふむ   おもしろいですねえ。
     
か い   そのお話をいただいてすぐ、
金谷ホテルに下見へ行ったんですけれど、
すごくすてきで、
その仕事自体もすごく楽しかったんですよ。
私たちの年代って、クラシックホテルのことを、
あんまり知らないじゃないですか?
     
ふむふむ   そうですね。
     
か い   来ているお客さんも
年配のご夫婦がほとんどなんですよ。
だから、もっと、
同年代の人たちにも紹介したいなと
思ったんです。
     
ふむふむ   クラシックホテルの魅力はどういうとこですか?
     
か い   まず歴史がおもしろいんですよ。
日本の歴史に結びついていて、
クラシックホテルってだいたいが、
元々、財閥の別荘だったりするんですよ。
     
ふむふむ   あ、そうなんですか。
     
か い   クラシックホテルを知ると、
日本の歴史を知ることに繋がっていくんです。
それがすごくおもしろくって。
あとは、そのホテルが描かれた、
映画や文学作品を教えてもらったりすると、
文科系としてはさらなる魅力に
とりつかれてしまいます。
     
第十一回 「港屋とサンリオ」につづく
     
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