
- 書で続けてゆくということも、個展をした頃から意識し始めたのでしょうか?
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「物をつくっている」という感覚は、実は当時あまりありませんでした。
続けようにも、どうやってずっと続けていくんだと思っていたし、具体的なことは何も考えていなかったんです。
高校卒業後は、大学の心理学部に進学しました。心理学の勉強をしながら、書道も 自分で続けていたんですけれど・・・一番行き詰まっていたと思います。書を続けたいとは思っていたけれど、職業としていくのかとか、これからのことがはっきり見えずに宙ぶらりんの状態でした。先生の所にも通わなくなってしまって、1人でやろうとしてたものの、結局行き詰まってしまっていた状況が、25歳くらいまで続きました。その頃、自分ははっきりと書をやっていくということを選ぶこと無しにここまで来たんだ、ということにも気が付いてしまったんです。小さい頃からずっと続けてきたけれど、本当はどうしていきたいのか、実は自分ではっきりと考えた事がなかったという事に気がついて。そういうことでもすごく悩んだ時期でした。
- 学校を出てからは他の仕事をしていたんですか?
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大学を卒業して就職しなかったので、しばらくはアルバイトをしていたんです。親から就職しないことを許してもらう条件として、「 大学にいる間に書にまつわる仕事を1本でも取ってきたら、書で食 べて行くことを試してみても良い」と言われていました。大学時代に開いた個展で茶道の雑誌の編集者の方と知り会って、雑誌の扉絵に 篆刻の作品を載せないかという話を頂けて、それで親の許しはもら えましたが、やっぱり仕事が1本とれたくらいでは食べていく事はできませんでした。その後25歳の時に、本を出版することができ たんですが、それでもまだまだ食べては行けない状態でした。
- 行き詰まっていた状況から抜け出すきっかけは何かあったのでしょうか?
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25歳くらいの時、当時の恋人、今の主人なんですが、 彼にはっきりと「自分の生活に必要なお金も稼げていないのに仕事 っていうな」と言われたことがあったんです。自分ではやっていることは仕事だと思っていたんですが、彼からしてみれば仕事でもなんでもなかったんですね。口惜しくって、それが一番気持ちが入れ 替わるきっかけになりました。何をやりたいのかという事も言われ て、「今のままだと人にも伝わっていないし、自分のやりたい事だ けをやるんだったら、自己満足で終わればいい。何をして何を伝えたいか、はっきり考えろ」って。厳しい言葉ではあったけれど・・ ・それですごく変わりましたね。考え方も大分変わったような気がします。そこからですね、本当に腹をくくって、自分の軸としてこれ をやって行く、って決めたのは。
第三回に続く
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