聞き手:ウチタカヒデ 
ウ チ 11月28日に紙ジャケでリイシューされた、
GREAT3の初期4作品についてなのですが、
そもそもバンドを結成された当初は、
どういうバンドにしていこうと
考えられていたのでしょうか?
   
片 寄 元々僕はロッテンハッツというバンドで
デビューして、それを解散してGREAT3を結成しました。
ロッテンハッツは結成当初はジャグバンド的な編成、
というのが基本的にあって、
音楽性としてはラヴィン・スプーンフルとか、
あの辺のカントリー風味もあるけど、
洒落たポップさを持ち合わせたグループに
影響を受けて作ったバンドで、
僕自身もちゃんとした活動としては
初めてのバンドでした。
インディーズ時代も含めて
3枚のアルバムを作ったんだけど、
最後のアルバムを作っている頃には、
そのジャグバンド的なスタイルとは違うことを
やりたくなったんですよ。
例えばもっとソウル色の強いものだったり、
よりビートの強いリズムとかね。
だから根本的なところは、
その流れで自分の音楽的な欲求を素直にぶつけたものを
やりたいというのがGREAT3だったんです。
   
ウ チ よりハードなバンドサウンドに
転換したということでしょうか?
   
片 寄 そうだね。
94年がGREAT3を作った時だったんだけど、
時代的にはニルヴァーナやウィーザーとかね。
   
ウ チ グランジの影響もあったんですね?
   
片 寄 そう、グランジの影響もありました。
ニルヴァーナとか凄く好きだったし、
一方でマシュー・スウィートみたいな
70年代の音楽性をもって新しいアプローチをする
ミュージシャンも出てきたりしていたな。
そういったオルタナティヴな音楽が自分の中で
もの凄く刺激になって、それと自分が元々持っている
ソウルやAOR的なセンスを融合できないかというのが、
GREAT3を作った時に考えていたことだと思う。
   
ウ チ 当時、高桑さんや白根さんも
同じ様な音楽指向に向かっていたんでしょうね。
   
片 寄 そうだと思いますね。
その頃はよく集まってそういう話をしていたと思う。
ロッテンハッツという制約を離れたところで、
どれだけ音楽性を広げられるのかってことを
みんな考えていたんだと思います。
   
ウ チ 今から考えると、ファーストの『Richmond High』
バンドのスタイルが確立されていたような感じがしますが。
   
片 寄 そうだね。今思うとそうだね。
   
ウ チ 結成当時、GREAT3サウンドで
最も心掛けていたポイントはなんでしょうか?
   
片 寄 初期のGREAT3は、ハードなものとメロウなものを
1曲の中に溶け込ませるということを考えていて、
例えばハードなギターリフで始まったのが
急にビーチボーイズみたいなメロウな世界に
ポーンと落ちたりとか、
アイズリー・ブラザーズとニール・ヤングが
同居しているサウンドの中に
マーヴィン・ゲイやネッド・ドヒニー的な要素が
モザイク状に入ってくる、
そういったサウンドが作りたかったんですね。
   
ウ チ 両極なサウンドともいえるので、
結構大変だったんじゃないですか?
   
片 寄 う〜ん、どうだろう。
情熱があったから出来たんじゃないかな。
もう覚えてないこともあるんですけど、
それは凄くナチュラルにやっていたことですね。
   
ウ チ 今回の4作品の中で、
特に印象に残っているのはどのアルバムでしょうか?
   
片 寄 『Romance』の時は肉体的にも精神的にも
コンディションがよくなかったので、
記憶にないことで印象に残っているか、
記憶が飛んでいるという意味で
記憶に残っていますけどね(笑)。
振り返ってみるとそれぞれに思い出はありますね。
でもファースト『Richmond High』と
サード『Romance』が特に印象深いかな。
   
ウ チ やはりファースト・アルバムですから
力が入りますよね。
   
片 寄 うん、そうそう。
ファーストはサードの時とは全く逆で、
もの凄くポジティヴに新しいことをやるんだ
という意識があって、
曲も全て揃っていたし衝動の赴くままに
ハイなテンションで作り上げた。
それに対してサードの方は、
自分の思ってもいなかったアルバムを作った
って感じで、あんなにダークな、というか。
   
ウ チ それは偶然性も重なって感じですかね?
   
片 寄 そうだと思う。
当時の精神状態の影響だと思うんですけどね。
妙にサイケデリックというか、
なんというか独特な雰囲気が出ている。
それは意図して出したものではなく、
たまたまその時に偶然出来上がったものなんですけどね。
今から考えるとレコーディングも長きに渡る、って
感じでもないんですけど、
当時の自分達には長く感じたし。
   
ウ チ 難産といえば難産ですね?
   
片 寄 難産でしたね。
そういった中であれだけのものが出来て、
今聴き返してもアルバムとして
トータリティーがあるのは驚きだね。
今から丁度10年前ですけど、
非常に興味深いですね(笑)。
     
    Interview.03
『ソングライター片寄明人の音楽的ルーツ』へつづく
     
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