いそがい   フリーペーパーのころから、
「私の手を離れたあとはもう手にとってくれた人のもの」
というふうに思っていて。
     
むふむふ   ほう。
     
いそがい   だからたとえば帰りの電車でぱらっと読んでもらって
そのあと家に帰ってポイって捨てられてしまっても
別にいいかなって思うんです。
目の前で見ちゃったら多少はかなしいかもしれないけど。
     
むふむふ   手元に残らなくてもいいんですか?
     
いそがい   もちろん残してもらえるようなものをつくろう、
と思ってつくっていますが、
万人受けするとは思っていないので、
その人にとって残されない側に
選ばれたなら仕方ないな、と。
その読んでくれた時間が大切っていうか。
     
ふむふむ   例えば読んでくれた人の心を動かしたい
というような想いはないんですか?
     
いそがい   うーん、例えば取材させてもらった人のひとことや
収録させてもらったアーティストの曲のワンフレーズに
何か感じるものがあって
それが何かのきっかけや新しい出会いに
なってくれたらいいなとは、すごく思いますね。
     
ふむふむ   あくまでフィルターの役割でいたいんですね。
     
いそがい   そう、これはフィルター…通過点にすぎなくて
読んでくれた人が、
その先にある私の知らない世界、
その人にとっての新しい世界に
繋がると素敵だなって思います。
     
むふむふ   なるほどー。
     
いそがい   「自分が何々する」ということを目的にしてしまうと
そこで完結してしまうというか、
後が壁みたいになってしまって
私のただの自己満足になってしまうと思うんです。
     
むふむふ   そこをは意識しながらつくってるんですね。
     
いそがい   そういうふうにならないように、
ずっと気をつけていますね。
     
ふむふむ   例えばインターネットのようなメディアでも
活動することができると思うのですが、
なぜ本という形態なのでしょうか?
     
いそがい   デザイン力があって内容もあって
目の付け所のいい素敵なサイトって
いっぱいあると思うんです。
     
むふむふ   そうですね。
     
いそがい   でも私は紙に印刷されているのが好きなんです。
     
ふむふむ   あ、なんかわかりますね、それは。
ライブハウスでもらういろんなビラの中に
ちゃんと冊子になってるものが挟まっていたりすると
不思議と大事に読んでしまいますもんね。
     
いそがい   「本」という形が好きなんです。
それなら喫茶店でも、ベッドの中でも
いつでもどこでも好きなふうに読んだりできるし。
     
むふむふ   それで、持ち運びやすい
今のA5サイズになったんですか?
     
いそがい   ええ。B6サイズだとCDを貼れないし。
     
むふむふ   そうですね、B6だとCDがはみ出しますね。
     
いそがい   それと私は「プチブック」という言葉が
すごく好きなんですが
A5より大きいと
「プチ」じゃなくなるじゃないですか。
     
むふむふ   そうなっちゃうともう
「プチ」サイズではないですもんね。
     
いそがい   それでこの大きさなんです。
     
むふむふ   CDを付けるっていうのが
本のサイズに影響してるんですね。
     
いそがい   やっぱり格好悪くついていたら嫌だなあと思って。
     
  vol.06 「私がつくりたかったもの」につづく