とよくら   僕の場合はですね、絵が好きだったんですよ。
それで絵をはじめたわけなんですけど、
ずっとやっているうちに、当たり前のこととして
日常的にアイデアを探していたりするんです。
     
むふむふ   はい、わかります。
     
とよくら   で、そうしているうちに、
当たり前すぎて、もう絵が好きなのかどうか
自分ではわからなくなるんです。
     
むふむふ   え、そうなんですか?
     
とよくら   もう体の中の一部になってしまってるような感覚で、
もちろん好きなんだろうとは思うんですけどね。
嫌いにならないんですよ。
     
むふむふ   嫌いにならない、というと?
     
とよくら   好きっていう気持ちは、嫌いになる可能性がある、
っていうことのように思うんです。
例えばマラソンを好きな人が、
今日はちょっと走りたくないなあ、って思ったりとかね。
     
むふむふ   ああ、なるほど。
     
とよくら   僕の絵の場合はもう基本的に左右されないんですよ。
当たり前の感覚でやってるんです。
     
むふむふ   息をするかのように、描くんですね。
     
とよくら   元々好きで絵を描きはじめて、
でも、それだけじゃなくって、
その先が必要だと思うんです。
絵を描くことは僕の中では一種の手段なんですよ。
     
むふむふ   それが目的ではない?
     
とよくら   はい。
絵が手段だって気付いたのは学生の時で、
弁護士から絵に手段が変わっただけで、
目的は同じだった、って。
それに気付いてからは楽になりましたね。
     
むふむふ   と、いうことは極端に言うと絵じゃなくっても・・・
     
とよくら   手段が変わるだけですから目的が同じなら
いいんですよね。
「好きなことを仕事にできて幸せ、というよりは、
自分にしかできないことをできるから幸せ。」って
書いたのはそういうイメージなんです。
     
むふむふ   なるほど。
アイデアをトヨクラさんという
“フィルター”に通すわけですね。
     
とよくら   そうですね。
     
むふむふ   ちょっと話は戻るのですけど、
アイデアって、メモを取ったりしてるんですか?
     
とよくら   メモはとってないですけどね。
頭の中で覚えておくんです。
話した内容や、新聞からも影響を受けますね。
社会的なこととか。
     
むふむふ   先ほど見せていただいた過去の作品の中には、
ちょっと戦争っぽいものとかも含まれてましたけど、
そういうメッセージみたいなものがあるのですか?
     
とよくら   メッセージは特には出したくないと思ってて、
あくまで提案だと思ってるんです。
自分の考えは押し付けではなくて、
あくまで提案にとどめておきたいんです。
     
むふむふ   あ、そういえばすべて問いかける形の作品でしたね。
     
とよくら   はい、そこらへんでとめておきたいですね。
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